壺草苑

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コラム

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第17回植物染料における藍の役割
2021/8/18

布を染めるには植物しかなかった時代、藍草は青色を得るためのほとんど唯一の植物として、たいへん重宝されてきました。

加えて、青以外の色を得るためにも欠かせない存在であったことをご存知でしょうか。

  

染料として全く色を持たない植物はありませんが、その多くが茶色や黄色、赤色といった系統にしか染まらず、緑色に至っては、一種類も存在しません。

それら単体の染料で得られる色には限りがありますので、絵の具のように異なる色を掛け合わせることで多様な色に染めていました。

この重ね染めで最も重宝されたのが、藍です。

つまり、藍に黄色を重ねれば緑色に染めることができますし、藍に紅を重ねれば、紫に染めることができるのです。

他にも藍を使わなければ出せない色は数え切れないほどあります。

 

藍は青く染まるだけでも貴重ですが、青みのある他の色を染めるためにも欠かせない存在なのです。

もし藍染が見出されていなかったら、人々の生活は暖色ばかりの冴えない彩りだったことでしょう。

天然染料しか存在しなかった時代、藍が与えてくれた恩恵の大きさは計り知れません。