- 「天然藍灰汁醗酵建て」とは
- 藍染の染液をつくることを「藍を建てる」と言います。
天然藍灰汁醗酵建ては日本の藍染の黄金期である
江戸時代を中心に行われていた方法です。
化学薬品を一切使わず、自然界からとれる原料のみを用いるため、
布やそれを身につける私たちだけでなく、環境にとっても、
非常に優しい染色方法なのです。
蒅と灰汁の他に、日本酒、ふすま(小麦の外皮)、石灰を使用し
徐々にかさを上げながら液を発酵させていきます。
建てはじめてから1週間ほどで、
ようやく布を染められる状態になります。
- 職人が毎日
素手で染められる理由 - 私たち職人は毎日素手で藍染を行なっています。
なぜ、そんなことができるのか。
それは天然藍が体には全くの無害だからです。
むしろ、染め上がったものには殺菌・抗菌作用やUVカット効果などが
あるとされており、身につける人を優しく守ってくれます。
また、使い終わった液は畑に肥料として撒き、
私たちはいつもそこで育った野菜の恩恵を受けています。
この様な循環型の染め物は世界中探しても類を見ません。
- 「天然藍灰汁醗酵建て」
を続けること - 天然藍だけにしかない優しさと美しさ。
染め重ねれば重ねるほど赤みを帯び輝きを増す藍の色は、
単純に「青」や「紺」という言葉では表現できません。
化学染料や絵の具をどのように配合しても、
決して出すことのできない色です。
この、心に澄み渡るような美しい色に出会うために、
果てしなく同じ作業の繰り返し…。
人間の利己に流されず、ゆっくりと真面目に藍と向き合ったとき
初めてその姿を見せてくれます。
- 天然藍の原料・蒅とインジゴ
- 蒅とは、蓼藍という植物の葉を乾燥させ、
さらに発酵させた状態のものです。
発酵させることにより、蓼藍の葉の中に含まれる
インジカンという成分を藍染に必要な色素インジゴに変化させているのです。
この蒅は、藍師さんという職人のもと約1年という長い時間と
惜しみない手間をかけて作られています。
壺草苑で使用する蒅は、徳島の国選定文化財・阿波藍製造技術保持者である
藍師・新居修(無形文化財)さんのもとで作られたものです。
毎年2月頃、わらのかますに入った蒅が工房に届きます。
現在は化学薬品を使い短時間で藍染に似た色を出した染め物が増え、
灰汁醗酵建ての藍染は全体の数%程度と言われています。
それでも私たちは昔ながらの時間のかかる天然藍染を続けます。
時間も根気も必要ですが、染め上がった天然藍を身につけると、
驚くほどに心が晴れわたるのです。 -
会社概要
村田染工株式会社 | |
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代表取締役 | 村田 敏行 |
住所 | 東京都青梅市長淵8丁目194 |
創業 | 大正8年1月 |
会社設立 | 昭和29年 |
資本金 | 10,000千円 |
総売上 | 100,000千円 |
従業員 | 10名 |
変遷
村田染工㈱は、綿糸等の糸染めをする個人企業として創業いたしました。
戦後青梅夜具の布団地の生産が盛んとなり、全国シェアが50%を超えた時期もありました。
その後当社では、タオルをはじめインテリア関係、服地、ハンカチ等の糸染めを主に営業してきましたが、
平成元年、村田染工㈱の1部門として、“藍染工房 壺草苑”を開苑し現在に至っております。
工房長
村田徳行
略歴
1960年 | 東京都青梅市に生まれる |
1985年 | 家業である村田染工㈱を継ぐ、青梅嶋に感銘を受け藍染の道に入る |
1986年 | 徳島の友禅工房で修行 |
1987年 | 徳島の藍師・新居修氏の元で1年間蒅作りを修行 |
1989年 | 青梅に“藍染工房 壺草苑”を開く |
1994年 | YKK.R&Dセンター「バクテリアのシャツ」 「ステンレスのシャツ」 |
1998年 | ドイツで個展 ヴェルツブルグ シーボルト博物館 ハンブルグ国立美術工芸博物館 |
1998年 | 全国阿波藍染色作家協会に参加 |
1999年 | カナダ バンクーバー博物館展示会参加 |
2001年 | 茨城・那珂アカデミア・プラトニカにて個展 (以後毎年開催) |
2008年 | 一年間の期間限定で壺草苑イーアスつくば店をオープン |
2009年 | 第5回東京伝統工芸チャレンジ大賞優秀賞受賞 板締天蚕糸入りショール |
2011年 | 第7回東京伝統工芸チャレンジ大賞理事長賞受賞 kasuriニットキャップ&グローブ |
2012年 | ニューヨーク近代美術館(MoMA)ミュージアムショップにてストールの販売開始 |
2013年 | 第9回東京伝統工芸チャレンジ大賞優秀賞受賞 和紙×コットン足袋型&5本指靴下 |
2015年 | 経産省プロジェクト「The Wonder500」に 壺草苑の”藍染”が認定される |
2016年 | MoMA DesignStoreカタログにストールが掲載される 東京都中小企業振興公社 伝統工芸品の普及促進プロジェクト「東京手仕事」に板締めストールが採用 |
受賞
- 東京手仕事プロジェクト 2017選出 「シルクカシミヤ板締めストール」
- The Wonder500選出 “世界にまだ知られていない、日本が誇るべきすぐれた地方産品”を発掘し
海外に広く伝えていく地方発クールジャパンプロジェクト 藍染工房 壺草苑 「藍染め」 - 第9回 東京の伝統的工芸品 チャレンジ大賞 優秀賞 「和紙×コットン 足袋型&5本指靴下」
- 第7回 東京の伝統的工芸品 チャレンジ大賞 大賞(理事長賞)「kasuriニット キャップ&グローブ」
- 第5回 東京の伝統的工芸品 チャレンジ大賞 優秀賞 「天然藍染天蚕糸入 板締めショール」