壺草苑

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コラム

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第5回インドの藍染 その1
2019/3/01

今回から海外の藍染についてお話しします。

まずはやはりこの国、インドからです。

 

藍染を英語に訳すとインディゴですね。

その語源となったインドは藍染を続けることはや4000年!

世界に誇る藍染大国です。

 

その所以は、インドの灼熱の太陽を浴びて育つ藍草にあります。

マメ科のインド藍という植物で、その葉は小さいながら

非常に多くの藍の色素を含有しています。

西洋の藍草・ウォードの何十倍と言われる程です。

 

また、染料にした後の形状も他に比べて利便性に優れています。

インド藍は沈殿法によって染料を作ります。

藍の葉を水に浸して発酵させ、沈殿した色素を乾燥させて固形状にして使うのです。

 

これは保存と輸送に適し、太古よりインドの藍は各地へ運ばれました。

15世紀の大航海時代に入ると、西欧を中心にその輸出量は最盛期を迎えます。

 

「インド藍は色が鮮やかで堅牢度も強く、耐光性にも優れている」とその性能の高さと安価さから重宝され、

それまで西洋で育まれてきたウォード藍はたちまち姿を消してしまいました。

 

程なく日本にももたらされ、蓼藍による昔ながらの藍染の地位を脅かします。

 

現代においてもその地位は揺らぎません。

染料店に行けばインド藍は簡単に手に入りますが、

昔ながらの日本の藍染の原料である蒅(すくも)は生産量が少なくなかなか手に入りません。

また学校の授業などで藍染をやったことがある、という方が使ったのもインド藍かもしれません。

 

皆さんもきっと目にしたことがある、身近なインドの藍染です。