壺草苑

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コラム

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第16回植物から石油まで―多様な現代の藍染
2021/2/12

藍染は、大昔に藍の色素を持つ植物で 布を青く染めた事に始まりますが、
現代の藍染の多くが植物由来ではない事をご存知でしょうか。

今回は科学の発展と共に多様化した現代の藍染を、ざっくりと分類してご紹介します。

 

現在、藍の色素には、植物から取り出されるものと、石油から人工的に作るものの2種類があります。


そして藍染を行うには、水に溶けないこれらの色素を、醗酵、もしくは化学薬品の力で溶かし、染め液を作る必要があります。
この工程を藍を建(た)てる、藍建て、と言い、大きく分けて4つの方法があります。

   

①醗酵建て(天然色素 × 微生物の力)

すくもや沈殿藍といった植物の藍色素を、醗酵(還元菌)の力を借りて灰汁の中に溶かします。
その際用いる材料は、石灰や酒、ふすまなど、工房によって異なります。
室町時代後期~江戸時代初期に確立された日本古来の技法ですが、醗酵の管理が難しく、化学藍の台頭を受け衰退しました。

   

②化学建て(天然色素 × 化学薬品)

すくもや沈殿藍を、ハイドロサルファイトや苛性ソーダといった化学薬品で建てます。
天然藍として世に出ている藍染の多くがこのやり方です。

  

③インディゴ染め(化学色素 × 化学薬品)

石油から作られる化学色素インディゴピュア(通称インディゴ)を薬品で建てます。

藍染を英訳した場合もインディゴになるため混同されがちですが、固有名詞です。化学藍、合成藍、人造藍などとも呼ばれます。

代表的な製品にデニムがあります。

  

④割り建て

②と③を掛け合わせた方法。
すくもや沈殿藍といった植物の色素と、化学色素インディゴを混ぜて建てます。
こちらも現代の”天然藍”の定番です。

    

  

色素と建て方が天然であろうが化学的であろうが、
化学式は皆同じなためこれら全てを藍染といいます。


それぞれのやり方によって、ブルーの色味はもちろんのこと、色移り色落ちの有無や、製品にした際の価格も大きく異なります。

 

お好みの藍染を選んでもらえると良いのですが、これらの違いは混同されており、製品のパッケージや文言ではどんな藍染なのかを判断する事は困難です。


この違いを区別するために、本藍、正藍、天然藍など様々な用語が生まれましたが、定義や名乗る上での規定がないためあまり当てになりません。中には、天然と偽って売られている事も珍しくはありません。

 

サスティナブルな生活が望まれる近年では、世界中で藍の栽培と染色を復興させようという動きも見受けられます。

 

日本においても減産が深刻な 藍の栽培とすくも作りをより盛んにするためにも、そして地球環境のためにも、
日本古来の天然藍がより増えていくことを私たちは願っています。