壺草苑

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コラム

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第14回生薬としての藍
2020/10/13

藍草は今ではもっぱら染料植物として知られていますが、

かつては染める以外にも広く利用されていた事はあまり知られていません。

 

そもそも、植物染料で生薬としての利用がないものはないと言われるほどその関係は密接です。

薬としての利用を目的に植物を煎じるなどした際、

水に色が出てそれを染料とすることを思いついた、という経緯が容易に想像できますね。

 

藍も例外ではなく、古い文献に触れると漢方薬や多様な民間療法の記述が見られます。

いくつかご紹介します。

あくまで伝承ですので、科学的根拠に基づくものではありませんし、藍草の品種も定かではありません。

 

“藍の葉や実を内服すると、抗炎症効果、解熱、鎮痛が得られる”

“生葉の汁や、発酵させた染料液、そこに浮く藍の華(液面での酸化反応によって浮く色素の塊)を塗ると、蛇や虫の刺し傷の解毒効果、水虫の治療効果がある”

“腹の上に置いて寝ると冷え性が治る、また興奮して眠れないときは安眠剤として頭の上に置いて寝ると良い”

“加工して神経痛や痔の座薬の中に利用”

“蒅を服用することでフグの中毒の特効薬となる”

“発酵液を服用すると胃がんの妙薬となる”

などなど…。

 

また中国・唐の時代に書かれた『薬性論』には、

“骨髄を填める、耳目を明らかにする、五臓を利す、六腑を調える、関節を利す、経絡中の結気を治し、人を健やかにする、睡眠を少なくする、心力を益す”

ともあります。

 

信じられそうなものから、怪しくも微笑ましい言い伝えまで様々ですが、藍が頼りにされていたことは確かなようです。

しっかりと効能の理論を突き詰めれば、現代においても利用の価値があるのではないでしょうか。

 

藍はまだまだ、未知の力を秘めているようです。